「うちは大丈夫?」相続税はいくらから?誰がどうやって払う?知っておきたい基礎知識と納税のルール

大切なご家族を亡くされた際、悲しみの中でふと不安になるのが「相続税」のことではないでしょうか。

「うちは普通のご家庭だから関係ないわ」と思っていても、最近の地価の上昇や制度の改正により、意外と身近な問題になっています。
この記事では、相続税が「いくらからかかるのか」、そして「誰がどうやって払うのか」という基本を、初めての方にもわかりやすく解説します。

目次

相続税は「全員」にかかるわけではありません

まず安心してお伝えしたいのは、相続税は亡くなった方全員にかかる税金ではないということです。

現在、実際に相続税の支払いが必要になるのは、亡くなった方のうち「10人に1人(約9%)」程度と言われています。

つまり、多くのご家庭では相続税がかからないケースがほとんどなのです。
相続税は、遺された財産が「ある一定の金額(基礎控除)」を超えた場合にのみ発生します。まずは、ご自身のご家庭がその「一定の金額」を超えそうかどうかを知ることが、安心への第一歩です。

令和5年分令和6年分
①被相続人数(死亡者数)1,576,016人1,605,378人
②相続税の申告書の提出に係る被相続人数155,740人166,730人
課税割合(②/①)9.9%10.4%
令和6年分 相続税の申告事績の概要|国税庁

参照:令和6年分 相続税の申告事績の概要|国税庁 https://www.nta.go.jp/information/release/kokuzeicho/2025/sozoku_shinkoku
https://www.nta.go.jp/information/release/kokuzeicho/2025/sozoku_shinkoku/pdf/sozoku_shinkoku.pdf

では次に、ある一定の金額(基礎控除)を超えるかどうか確認してみましょう。

相続税がかかる境目「基礎控除」を計算してみましょう

相続税がかかるかどうかの分かれ道となる金額を「基礎控除(きそこうじょ)」と呼びます。この金額以内であれば、相続税は1円もかかりませんし、税務署への申告も不要です。 基礎控除の計算式はとてもシンプルです。

基礎控除額 = 3,000万円 +(600万円 × 法定相続人の数)

※「法定相続人」とは、財産を引き継ぐ権利がある家族のことです(配偶者や子供など)。

例えば、お父様が亡くなり、お母様と子供2人が相続人の場合、法定相続人は「3人」となります。

法定相続人の数相続税がかからない枠(基礎控除額)
1人(子供1人のみなど)3,600万円
2人(配偶者と子供1人など)4,200万円
3人(配偶者と子供2人など)4,800万円
4人(配偶者と子供3人など)5,400万円

預貯金だけでなく、ご自宅の土地・建物の評価額などを合計して、この金額を超えるかどうかがポイントになります。

預貯金や現金だけであれば計算はシンプルですが、土地や建物の評価額を含める場合には複雑な計算が必要になるため、おおよその目安を知るなら自身で計算しても良いものの、実際に申告する段階では専門家(税理士)に依頼するのが一般的であり安心です。

「いつ」専門家に相談すべき?

目安として、以下の状況であれば、一度専門家に相談されることをおすすめします。

  • ご自身で計算してみて、基礎控除額(非課税枠)ギリギリ、あるいは超えそうなとき
  • 「小規模宅地等の特例(80%引き)」を使って、税金を0円にしたいとき
  • 土地の形が複雑だったり、複数の不動産を持っているとき
  • 家族の間で、誰が何を継ぐか、まだ話し合いがまとまっていないとき
小規模宅地等の特例とは

亡くなった方の自宅や事業用の土地を相続する際、その評価額を最大80%も減額できる非常に強力な節税制度です。

なぜこれほど大幅な割引があるのでしょうか?
それは、残された家族が「相続税を払うために、住む場所や働く場所を失ってしまう」のを防ぐためです。つまり、家族の生活を守るという、非常に重要な役割を持った特例なのです。

ただし、最大80%減額という大きなメリットがある反面、適用には「誰が相続するか」「その後も住み続けるか」といった細かい条件がいくつか設けられています。

参考:No.4124 相続した事業の用や居住の用の宅地等の価額の特例(小規模宅地等の特例)|国税庁
https://www.nta.go.jp/taxes/shiraberu/taxanswer/sozoku/4124.htm

「どのくらい」税理士に依頼してる?

相続税の申告において、税理士が関与(依頼)している割合は非常に高く、全体の約9割にのぼります。

つまり、相続税の申告が必要になった人のうち、10人中8〜9人は税理士に依頼しているというのが実態です。所得税の確定申告などに比べても、相続税は専門家への依存度が非常に高い分野といえます。

<税理士関与割合>

年 度令和2年度3年度4年度5年度6年度
所得税21.1%21.0%20.4%20.4%20.4%
相続税86.1%86.1%85.9%86.3%86.5%
法人税89.4%89.5%89.5%89.8%89.8%

参照:実施計画、事前分析表、評価書(国税庁) : 財務省
https://www.mof.go.jp/about_mof/policy_evaluation/nta/index.html
https://www.mof.go.jp/about_mof/policy_evaluation/nta/fy2024/evaluation/202510ntahyoka.pdf

申告から納付まで、私たちが私たちがお客様に代わって進めていきます。安心してお任せください。

課税対象になった場合、誰が支払うの?

もし財産の合計が基礎控除を超えてしまった場合、「誰が払うのか」が気になりますよね。

相続税の申告書は相続人全員で作成・提出することが一般的ですが、相続税の支払いは、相続人それぞれが納付を行わなければなりません。

相続税は、亡くなった人の財産に対してかかりますが、実際に税金を納めるのは「財産を具体的に受け取った人」です。

例えば、お母様が自宅を、長男が預貯金を相続した場合、それぞれが受け取った金額の割合に応じて、自分の分の税金を計算して納めます。個人がそれぞれで納める必要があります。

いつまでに、どうやって? 納税の期限と方法

相続税には厳しい期限がありますが、その期限内であれば、ご自身のタイミングで申告・納付を行うことができます。

  • 期限: 相続の開始があったことを知った日の翌日から10ヶ月以内
  • 方法: 原則として「現金で一括納付」

10ヶ月以内に、相続税の申告をして、相続税を納付する流れが一般的です。

「納税額が0円」でも申告が必要なケースに注意

「配偶者の税額軽減」や「小規模宅地等の特例」を使えば、相続税が0円になるケースは多いです。
しかし、これらの特例は、「申告書を出して初めて適用される」ルールになっています。
申告を忘れると、特例が受けられず高額な税金がかかる恐れもあるため、「特例を使うなら申告はセット」と覚えておきましょう。

どうやって支払うの?

最近では、税務署の窓口だけでなく、以下のようなキャッシュレスでの納付も選べます。

  • e-Taxによる口座振替
  • クレジットカード
    (専用サイトより、決済手数料がかかる)
  • コンビニエンスストア
    (相続税額が30万円以下の場合に限定、現金払い)
  • 税務署の窓口
    (被相続人の最後の住所地を管轄する税務署に限定、現金のみ)
  • 金融機関の窓口
    (銀行・郵便局)

【窓口で支払う場合】納付書は、どこでもらえるの?
金融機関、郵便局、または税務署の窓口に備え付けられています。
納付書は納税者(相続人)ごとに作成する必要があります。書き損じに備えて、人数分より少し多めにもらっておくと安心です。

「連帯責任」があることに注意
少し意外かもしれませんが、相続税には「連帯納付義務」というルールがあります。もし相続人の一人が税金を払わなかった場合、他の相続人が代わりに納めなければならない可能性があるため、家族間でのコミュニケーションがとても大切です。

参考:
相続税の申告と納税|国税庁
https://www.nta.go.jp/taxes/shiraberu/taxanswer/sozoku/4205.htm
納税に関する総合案内|国税庁
https://www.nta.go.jp/taxes/nozei/annai/index.htm
G-2 国税の納付手続(納期限・振替日・納付方法)|国税庁
https://www.nta.go.jp/taxes/nozei/nofu/01.htm
G-2-6 コンビニ納付(QRコード)|国税庁
https://www.nta.go.jp/taxes/nozei/nofu/conveni_qr_nofu/index.htm
国税 クレジットカードお支払サイト
https://koukin.f-regi.com/fc/kokuzei_direct/

まとめ:まずは「家族の人数」と「財産」を整理することから

相続は、誰にとっても初めてのことで不安が尽きないものです。ですが、まずは「基礎控除がいくらあるか」を知るだけで、心の余裕が全く違ってきます。

  1. 法定相続人が何人いるか数える
  2. 基礎控除額を計算する
  3. 大まかな財産(預貯金・不動産)を書き出してみる

この3ステップから始めてみませんか?

もし「うちの土地はいくらくらいかしら?」「申告が必要か判断がつかない」と少しでも迷われたら、相続の専門家である税理士に相談することをおすすめします。 プロの目を通すことで、使える特例が見つかり、結果として大切な財産をしっかり守ることができるはずですよ。

相続の手続きに迷ったら専門家に相談を

相続の手続きを実際にやってみると「この書類で合っているの?」「税金のことも関係あるの?」と迷うことが多いものです。

そんなときは、一人で抱え込まず専門家(税理士や司法書士など)に相談するのが安心です。

「税理士法人オーケーパートナー」では、初めて相続を迎える方にもわかりやすくサポートしています。

‐監修者‐
大久保 俊治

税理士法人オーケーパートナー 税理士
税理士経験20年以上。
「かゆいところに手が届く」、お客様にとってそんな心地よい存在を目指します。

(本記事は税理士の監修のもと、相続が初めての方にも分かりやすいよう内容をまとめています。)

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