家族が亡くなった後の預金はどうなる?「口座凍結」の仕組みと、預金をスムーズに相続するコツ

家族が亡くなった後、「すぐに口座が止まって葬儀代が払えなくなったら……」と不安になる方は多いものです。しかし、仕組みを正しく知れば、落ち着いて対処できます。今回は口座凍結のタイミングと、スムーズに手続きを進めるコツを解説します。

目次

銀行口座は「亡くなってすぐ」に止まるわけではありません

「亡くなったら銀行口座が凍結される」と聞いたことがあるかもしれません。では具体的に凍結されるのはいつなのでしょうか。

一般的に口座が凍結されるのは、以下のタイミングです。

  • ご遺族が銀行へ「亡くなったこと」を連絡したとき
  • 銀行側が新聞の訃報欄や葬儀の看板などを確認したとき

役所に提出された死亡届の情報が、そのまま銀行へ自動的に伝わる仕組みはありません。

つまり、銀行が亡くなった事実を「知ったとき」に初めて口座が止まります。それまでは物理的に引き出すことは可能ですが、他の相続人とのトラブルを避けるためにも、勝手に引き出すのは控えるのが安心です。

なぜ銀行は口座を凍結するの?

「あなたを含めた、相続人全員の正当な権利を守るため」です。

銀行が口座を凍結するのは、亡くなった瞬間に預金が「相続人全員の共有財産」になるためです。
一部の親族による使い込みや、後の親族間トラブルから相続人の権利を守り、銀行自身が損害賠償を問われるリスクを避けるための大切な安全装置となっています。

急な出費で困ったら?葬儀代などを引き出せる「払戻し制度」

「口座が止まったら、急ぎの支払いができない!」と慌てる必要はありません。現在は法律が改正され、遺産分割の話し合いが終わる前でも、一定の金額までなら引き出せる「相続預金の払戻し制度(仮払い制度)」があります。

参考:遺産分割前の相続預金の払戻し制度|一般社団法人全国銀行協会
https://www.zenginkyo.or.jp/fileadmin/res/article/F/7705_heritage_leaf.pdf

この制度を使えば、他の親族の同意がなくても、窓口で手続きをすることで預金を受け取れます。

  • 引き出せる金額の目安:
    「死亡時の預金残高 × 1/3 × 法定相続分」 (※金融機関ごとに最大150万円まで)
  • 必要な書類:
    ・亡くなった方の除籍謄本、戸籍謄本または全部事項証明書
    ・相続人全員の戸籍謄本または全部事項証明書
    ・預金の払戻しを希望される方の印鑑証明書
  • かかる日数:
    銀行によりますが、書類が揃っていれば数日〜1週間程度で支払われるケースが一般的です。
【法定相続分】についてはこちらをチェック

急ぎでお金が必要な場合は、まずは銀行の窓口で「払戻し制度を利用したい」と相談してみましょう。

参考:よくあるご質問(遺産分割前の相続預金の払戻し制度とはどんな制度ですか?) : 三井住友銀行
https://qa.smbc.co.jp/faq/show/3049?site_domain=default

参考:法務省: 民法及び家事事件手続法の一部を改正する法律について(相続法の改正)
(2 遺産分割に関する見直し等)
https://www.moj.go.jp/MINJI/minji07_00222.html
https://www.moj.go.jp/content/001278308.pdf

凍結を解除して預金を受け取る「3つのステップ」

凍結された口座を完全に解約し、中身の預金を受け取るには、以下の手順で進めていきます。

STEP

各金融機関の凍結解除方法を調べ、必要書類を取り寄せる

銀行によって、窓口でしか受け付けないところもあれば、郵送やネットで完結できるところもあります。
まずは「手引」を手に入れるのが先決です。

  • 問い合わせ:各銀行の「相続専用ダイヤル」や窓口へ連絡し、口座名義人が亡くなった旨を伝えます。
  • 書類の取り寄せ:銀行指定の「相続届(または払戻依頼書)」を郵送してもらうか、店舗で受け取ります。
  • 確認事項:遺言書がない場合、相続人全員の署名・実印が必要になることがほとんどです。
問い合わせ先の例

相続の手続方法(お亡くなりになったご連絡、必要書類のご準備) : 三井住友銀行
https://www.smbc.co.jp/kojin/souzoku/tetsuzuki

相続のお手続きのご案内 | 三菱UFJ銀行
https://www.bk.mufg.jp/tsukau/tetsuduki/sozoku/point.html

STEP

必要書類をそろえる

ここが最も日数を要するステップです。銀行指定の用紙以外に、公的な書類を準備します。

  • 亡くなった方の戸籍謄本
    出生から死亡まで、すべての連続した戸籍が必要です。
  • 相続人全員の戸籍謄本・印鑑証明書
    誰が相続人かを証明し、実印が本物であることを裏付けます。
  • 相続届への押印
    取り寄せた銀行の用紙に、相続人全員が署名し、実印を押します。
  • 故人の通帳・キャッシュカード・証書など

※戸籍謄本は発行より6ヵ月~1年以内のもの、印鑑登録証明書は発行より6ヵ月以内のものなど有効期限があるので注意しましょう。

STEP

銀行へ提出し、入金を確認する

すべての書類が揃ったら、銀行へ提出します。

  • 提出方法
    窓口への持ち込み(要予約の場合が多い)または郵送で行います。
    手続きを行う代表相続人の実印と本人確認書類(運転免許証など)を提示します。
  • 審査と着金
    提出後、銀行内部での審査が行われます。
    不備がなければ、通常1週間〜2週間程度で、指定した代表相続人の口座に一括で振り込まれます。
  • 完了
    振込が確認できれば、凍結解除の手続きはすべて終了です。

金融機関ごと、相続の状況によって異なります。
各金融機関で確認しましょう。

【注意】亡くなった方の預金を勝手に引き出すと、後から借金が見つかったとしても『相続を放棄する』という選択ができなくなる恐れがあるため注意が必要です。

自分でするのは大変…そんな時は「代行サービス」という選択肢も

ご自身の暮らしに加えて、お仕事やご家族の介護など、何かと忙しい毎日を送られていることと思います。

そんな目まぐるしい日々の中で、平日の限られた時間に何度も銀行の窓口へ足を運ぶのは、心身ともに大きな負担となってしまうはずです。

そんな時は、無理をせず「相続手続代行サービス」を利用するのも一つの知恵です。

  • 平日に何度も役所や銀行へ行く必要がなくなる
  • 複雑な戸籍謄本の収集を丸投げできる
  • 相続税が発生しそうな場合、そのままスムーズに申告まで相談できる

専門家に任せることで、精神的な負担をぐっと減らすことができます。

相続の手続きに迷ったら専門家に相談を

相続の手続きを実際にやってみると「この書類で合っているの?」「税金のことも関係あるの?」と迷うことが多いものです。

そんなときは、一人で抱え込まず専門家(税理士や司法書士など)に相談するのが安心です。

「税理士法人オーケーパートナー」では、初めて相続を迎える方にもわかりやすくサポートしています。

‐監修者‐
大久保 俊治

税理士法人オーケーパートナー 税理士
税理士経験20年以上。
「かゆいところに手が届く」、お客様にとってそんな心地よい存在を目指します。

(本記事は税理士の監修のもと、相続が初めての方にも分かりやすいよう内容をまとめています。)

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